オーバーツーリズムとは?
この風刺画について
この風刺画は、「オーバーツーリズム(Overtourism)」をテーマに描いた作品です。
舞台は日本の有名観光地、金閣寺をモチーフにしています。
近年、世界的な観光ブームによって、観光地に訪れる人々の数が急増し、それが地域の景観や文化、住民の暮らしにまで悪影響を与えているという現象が多発しています。
この風刺画では、その状況を風刺的かつ視覚的に強調することで、見る人に「観光のあり方」について改めて考えてもらうことを意図しました。
TOPの風刺画は共通して「金閣寺の上や中、周囲にぎっしりと人が押し寄せている様子」が描かれています。
屋根の上にまで登る観光客、自撮り棒を構える人々、混雑で身動きが取れないほどの人の波。
これは現実にはあり得ない極端な描写ですが、実際に京都などでは似たような状況が見受けられます。
この風刺画を通じて、私は単に観光客を非難するのではなく、観光を支える社会の仕組みや、受け入れる地域側の課題、そして私たち一人ひとりの意識について問いを投げかけています。
美しいはずの景観が「人の壁」によって見えなくなり、写真撮影やSNS投稿が「体験の目的化」している現代の状況を、視覚的にコミカルに、しかしシリアスな視点で描きました。
風刺画のポイント
この風刺画を描くにあたって、私が特に意識したのは「可視化された過剰さ」です。オーバーツーリズムという言葉はよく耳にするようになりましたが、それが実際どのような問題を引き起こしているのか、日常の中では見えにくいものです。
そこで私は、過剰なまでの観光客の数と行動を、あえてユーモラスに、かつディテール豊かに描くことで、その「異常さ」を強調しました。
まず、建物の描写にはこだわりました。金閣寺は観光地としての象徴であると同時に、静寂や美しさを感じさせる場所です。
その神聖な空間に、屋根の上までびっしりと人が乗っているという非現実的な状況を描くことで、文化財への無理解や軽視を象徴させています。
建物のバランスをギリギリに保つ構図は、観光地の「崩壊寸前のバランス感覚」を比喩的に表現しています。
人物の描き方も工夫しました。誰もがスマートフォンを手にし、自分の「映え」を追い求める姿は、現代の観光行動の一側面を象徴しています。
人々の表情はあえて楽しげに描いており、「本人たちは悪気がない」という無自覚さを強調しています。この「無意識の加害性」が、オーバーツーリズムの本質的な問題だと私は考えています。
背景の山々や空の色彩には対比の意図があります。自然は変わらず静かで美しいのに対し、人間の営みがそれをかき消してしまっているという構図です。
また、画面中央には観光ガイドのような人物や誘導スタッフを意図的に描かず、「管理されていない混乱状態」を強調しています。
これは、観光インフラの限界や政策の未整備さへの問題提起でもあります。
最後に、タイトルのタイポグラフィと色彩も重要です。「オーバーツーリズム」というカタカナと英語表記を並べることで、国内外に共通する問題であることを示しています。
水色のフォントは、通常リラックスや爽やかさを連想させますが、それがぎゅうぎゅう詰めの構図と対照的になることで、より不安感や違和感を際立たせる狙いがあります。
この風刺画は、笑いながらも「これは本当に笑っていいことなのか?」という問いを残す作品です。
観光の未来を守るために、見る人それぞれが考えるきっかけになれば嬉しいです。
AIが描いた「オーバーツーリズム」
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